◇個体密度管理で対策
沖縄原産のオキナワキノボリトカゲが日南市油津の津の峰に生息している問題で、調査を進めてきた市オキナワキノボリトカゲ委員会(会長=森田哲夫・宮崎大学准教授、12人)は、これまでの結果をまとめ、このほど市に報告した。【荒木勲】
岩本俊孝副委員長(宮崎大学教授)と松岡庸夫委員(市自治会連合会長)が谷口義幸市長に報告書を提出した。
この中で「トカゲは日光が地面に届く開けた林や人家近くにすみ、雄は縄張りを持つ。縄張り確保のため、個体増に伴い際限なく生息区域が広がる可能性がある。今のところ堀川運河の外では確認されていないので運河が歯止めになっているものと考えられる。対策の基本として個体密度を管理することが重要」などと説明した。
報告書には、住民への徹底した説明や鹿児島県指宿市、小笠原諸島(東京都)など同じ問題を抱える地区との連携なども提言している。仮にこのまま放置した場合、いずれ九州山地にも広がり、目に見える被害が現れ、その場合打つ手はない、という警告も加えた。
沖縄で絶滅危惧(きぐ)種に指定されている同種は、本土には本来いない種で、「国内移入種」という新たな概念提起のきっかけとなった。沖縄と本土の環境差を考えると「外来生物」として扱うべきという専門家の意見があるにもかかわらず、実際は国内移動のため法律上は環境問題として扱えないからだ。報告書には、日本は虫両生類学会の決議「問題の再発防止や、新たに発生した場合の対策の法的根拠を環境省に要望していくことが必要」という要望書も添えられている。
発見が市に報告されたのは07年1月だった。市は、専門家の意見などを参考に検討を重ね08年5月「市オキナワキノボリトカゲ委員会」を発足させ対策を探ってきた。委員会が行ってきた約2年の調査報告を受けて、日南市は10年度以降住民説明など具体的な対応に乗り出す。
報告書提出後、岩本教授は「委員会として一定の節目は終えたが、今後はそれぞれ研究者として、この問題とかかわっていく」と話している。3月2日朝刊