◇田辺市、捕獲累計1000頭を突破
アニメ番組の主人公として人気者になったアライグマ。ペット飼育が流行したものの、すぐに飽きて捨てられ野生化した。全国で増え続け、田辺市でも02年度半ばから記録し始めた捕獲数の累計が、1000頭を超えた。テレビを通じてお茶の間に登場してから30余年にしかならない。【吉野茂毅】
アライグマは体長50〜60センチ。タヌキに似ているが尾が長い。カナダ南部から南米北部が分布域とされる食肉目の雑食性動物。
1977年に民放で放映されたアニメ「あらいぐまラスカル」では愛らしい主人公のアライグマが人気を博したが、成熟すると気性が激しく、飼育には適さないという。
県によると、県内のアライグマ捕獲頭数は05〜08年度、693頭▽736頭▽739頭▽1077頭−−と増え続けた。県内30市町村の大半で捕獲報告があり、それぞれの年度の農業被害額は、3065万円▽1663万円▽2887万円▽3332万円−−にのぼる。県自然環境室によると、05年10月の「外来生物法」施行後は、アライグマの新たな飼育は禁じられているが、繁殖力が強いと見られる。
田辺市では02年夏から捕獲が始まった。市ふるさと自然公園センター嘱託職員の鈴木和男さん(53)=ほ乳類学=は「農業被害が目立ち始め、『もうたまらん』となったのでしょう」と当時を振り返る。捕獲数はひと月10〜20頭程度で推移し、昨年10月に1000頭を突破、今月1日現在1064頭に達した。
一方、市農業振興課の鳥獣害担当、森脇秀明さん(31)は「30個ある捕獲用金属おりはフル稼働です」と言う。おりは「箱わな」と呼ばれ縦80センチ、横25センチ、高さ30センチ。アライグマが奥の餌を目指し入り込むと、踏み板の留め金が体重で外れて開口部が閉まる仕掛け。市と農協が捕獲許可証の付いた箱わなの貸し出しと引き取りを行い、獣医師が注射で薬殺する。
同公園センターの鈴木さんは02年夏以降、捕獲されたすべてのアライグマの性別▽年齢▽DNA▽病気▽寄生虫の有無−−を調べており、「他の動物や人にとって危険な寄生虫もいる。野生動物が身近になれば、それだけ動物と人間の病気が接近する」と指摘。「増加にブレーキをかけることが大事」とし、「生ゴミをあさられたり家の中に入って来られるようになると、生活環境への被害が始まる」と警告している。
鈴木さんの心配を尻目に、昨年末にはJR紀伊田辺駅近くの商店街の屋上で、今月1日には市役所近くの市営住宅のそばの松林で、それぞれ箱わなにかかった。2月7日朝刊