国の天然記念物で絶滅危惧(きぐ)種に指定されている淡水魚イタセンパラやアユモドキを不正に取引したとして、愛知県警生活経済課と一宮署などは10日、同県一宮市などの男3人を種の保存法違反などの疑いで逮捕した。
名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を10月に控え、絶滅の危機にある生物の保護への関心が高まる中、県警は密漁実態や販売ルートの解明を急ぐ。
逮捕されたのは、一宮市、会社員、時田信夫(51)▽大分県別府市、無職、河村徳浩(47)▽岡山市中区、淡水魚販売業、佐々木保夫(65)の3容疑者。
時田容疑者の容疑は09年5月、木曽川中流域でイタセンパラ198匹を密漁、6月と8月に計40匹を佐々木容疑者に譲ったなどとしている。
河村容疑者の容疑は08年6月、時田容疑者にアユモドキ2匹を譲ったとしている。3人は「希少魚を持っている優越感を味わいたかった」「繁殖して売ろうと思った」などといずれも容疑を認めているという。
同課は時田容疑者が02年ごろから密漁を始め、イタセンパラだけで約1200匹を捕獲したとみている。他にも密漁した希少種を自宅で飼育したり販売していたといい、種の名前や譲渡相手は数年分、ノートなどにメモされていた。
時田、河村両容疑者は10年以上前に木曽川で釣り中に知り合い、佐々木容疑者を含めネットオークションに希少魚を出品するなどのマニア仲間だった。
時田容疑者は、佐々木容疑者に譲ったイタセンパラを同様に天然記念物で絶滅危惧種に指定されている淡水魚ミヤコタナゴなどと交換していた。魚は宅配便で送っていた。【中村かさね】
◇「地域住民らの監視、必要」
イタセンパラの保護と増殖に取り組む淀川水系イタセンパラ研究会(大阪市)の小川力也会長は密漁の横行について「地域住民など多数の目による監視が必要だ」と指摘する。
国内希少野生動植物に指定されている淡水魚は4種類。同研究会によると、このうちイタセンパラは河川環境の変化や外来種の増殖により最も絶滅に近い。魚類には珍しく二枚貝に産卵することや、繁殖期のオスが赤紫色の鮮やかな婚姻色を帯びることなどから愛好家に人気が高く、密漁や闇取引の対象にもされている。
密漁を阻止しようと、警察や行政と協力し淀川水系をパトロールしてきた小川会長は「罰則強化や監視カメラ、パトロールには限界がある。住民への協力の呼びかけや啓発活動が必要だ」と話している。【中村かさね】
【ことば】
イタセンパラ コイ科で体長約10センチ。淀川水系、濃尾平野、富山平野のみに分布する。環境省のレッドリスト絶滅危惧1A類。
アユモドキ ドジョウ科で体長約15センチ。淀川水系、岡山県吉井川・旭川・高梁川水系のみに分布する。同リスト絶滅危惧1A類。
Posted by jun at 2010年01月13日 09:13 in 魚&水棲生物