琵琶湖固有種で、食用高級魚として知られる「ホンモロコ」の養殖の取り組みが、全国に広がり始めている。琵琶湖では外来魚に食べられて生息数は激減しているが、最初に琵琶湖から移植して養殖を始めた埼玉県から鳥取県、兵庫県へと徐々に拡大。ホンモロコは養殖が比較的容易で、いずれも休耕田など田んぼを活用した人工池で養殖しており、新たな水産資源として注目を集めそうだ。
滋賀県によると、ホンモロコは主に塩焼きなどとして京都の料亭でも人気の淡水魚で、平成6年ごろまでは年間200〜400トンの漁獲高があった。しかし主にブラックバスやブルーギルなどに卵や稚魚が食べられるのが原因で、16年には5トンにまで激減した。
全国に先駆けて、平成4年に養殖を始めた埼玉県では、地元の食材として人気の高い利根川などで獲れる同じコイ科のモツゴの漁獲量が激減した。しかし養殖が困難なため、比較的養殖が容易なホンモロコに着目し、現在は年間約20トンを地元で消費するまでになった。県生産振興課主幹の関森清己さん(54)は「養殖しているのは体長5センチぐらい。大きいサイズになれば、本場の関西にも出荷が可能になるのではないか」と期待する。
この成功に着目したのが鳥取県で漁業活性化を研究している元鳥取大学助教授の七條喜一郎さん(66)。ワカサギの減少に悩まされていたことから、埼玉県から受精卵を取り寄せて養殖を開始。15年に鳥取市内などの農家4戸が休耕田で養殖を始め、現在は約60戸に増加。これまでの年間最高生産量は6トンで、地元で佃煮などに加工して販売しているほか、鮮魚は京都の高級料亭にも卸すなど生産は順調だ。
さらにこれを知った兵庫県香美町の農家、前田精一さん(59)が今年3月、仲間と「香美町ホンモロコ研究会」を結成。鳥取県を視察して、地元の休耕田約140平方メートルを活用して人工池を作り、5月下旬に稚魚約1万匹を放流した。前田さんは「今秋には成魚になる見通しで、地元の民宿に松葉ガニと一緒に出してもらえるようになるといい」と話す。
また本場・滋賀県では、鳥取県と同じころから地元有志らが養殖に取り組んでいる。県水産課課長補佐の二宮浩司さん(46)は「県としては外来魚駆除などを通して天然モノをいかに増やすかが課題。養殖が天然を補うことができれば理想的」と養殖事業にエールを送っている。
Posted by jun at 2009年06月29日 11:44 in 内水面行政関連