海水中の酸素濃度を示す溶存酸素量(DO)が大阪湾沿岸のほぼ全域で低下し、生物の生息環境が著しく悪化していることが20日、近畿地方整備局などの調査で分かった。整備局などは「大阪湾再生」をキーワードに、水質向上に向けた取り組みを進めているが、平成16年の調査開始以来、改善の兆しはみられていない。専門家は「貝類などには過酷な環境。大阪湾沿岸はすでに自然浄化能力を失っており、干潟造成など、大がかりな人為的対策が不可欠だ」と警告している。
調査は汚れた海のイメージを払拭(ふつしょく)しようと始まった「大阪湾再生」の取り組みの一環として実施。沿岸自治体や大学、臨海部の民間企業などが協力して毎年8月に行われている。20年度は、大阪湾に注ぎ込む河川や琵琶湖など、約450地点で一斉測定した。
調査結果では、とりわけ水深15メートル以下の浅い海域での環境悪化を確認。水深15メートル以内の海域の測定地点の9割以上で、1リットルあたりDOが3ミリグラム以下だったことが判明した。特に埋め立て地や工場、港などが密集する神戸空港より東側が悪化していた。
DOは海底から1メートル付近の海水中に溶けている酸素量を示し、海域の生物生息環境状態を示す指標。理想的な目標値は5ミリグラム以上で、1リットル中3ミリグラム以下だと酸欠状態で生物の生息が困難になるとされる。
大阪湾の環境対策に取り組む大阪市立大の矢持進教授(環境生態工学)によると、大阪湾の埋め立て地は甲子園球場2200〜2300個分相当。沿岸に占める水深10メートル以下の浅場面積は東京湾や伊勢湾の約30%に対し、大阪湾は約10%と少なく、生物の生育環境は国内の湾のなかでも劣悪だという。大阪湾の貝類の漁獲高は昭和40年代と比べ100トン前後減少している。
矢持教授は「このまま沿岸の悪環境が続けば、現在はまだ良好な環境を保っている湾中部にも影響する恐れががあり、ノリなどの海草類も採れなくなるかもしれない。できるだけ早く本格的な取り組みを始めるべきだ」と訴えている。
Posted by jun at 2009年06月22日 17:46 in 自然環境関連