琵琶湖のヨシ回復に取り組んでいる滋賀県は10日、県ヨシ群落保全審議会を開き、ヨシ帯の面積が植栽などで戦後最盛期の65%まで回復したと報告した。しかし、委員からは、ヨシ帯造成で既存の沈水植物が姿を消した例が指摘されたほか、魚類の繁殖効果への疑問など厳しい意見が相次いだ。
県のまとめでは、1953年に260ヘクタールあったヨシ帯は湖岸開発でほぼ半減したが、県などが植栽と消波堤の設置などの保全活動を続けた結果、2007年に169ヘクタールに回復した。
県は造成したヨシ帯で魚類や植物、鳥類の種類が増えたことを報告し、「生態系や水質の保全に効果がある」と評価。フナなどコイ科魚類の産卵も多数確認されたとした。
これに対し、委員の学識者や自然保護関係者からは事業の手法や効果への疑問が続出。ヨシを造成した複数の場所で、多様な沈水植物が埋められたり、姿が見えなくなるケースが指摘された。
魚類の繁殖についても「卵を確認しているというが、稚魚がまったく見つからない」「魚が育つためにはもっと幅広いヨシ帯が必要」などと意見が出された。審議会の森本幸裕会長(京都大大学院教授)は「人工護岸化した所から見れば良くなっているが、これで100%OKではない」と課題の解消を訴えた。
県水産課は「造成の際は現地で動植物の調査をしているが、すべて把握できる訳ではない。魚の増殖と自然保護などの整合をどう図るか苦労している」と話している。