2008年09月16日

国の天然記念物「浮島の森」にブラックバス(和歌山)

 外来生物法で特定外来生物に指定され、在来魚類などへの影響が懸念されているブラックバスが、新宮市中心部の国指定天然記念物「浮島の森」の沼にいることが分かった。浮島の森では沼の水質改善のため、熊野川の水を水路で引き込んでいるが、熊野川ではブラックバスが確認されており、ブラックバスも一緒に沼に流入した可能性がある。直接、浮島に被害が出る可能性はないものの、天然記念物にふさわしくないこともあり、管理する市教委が対策を検討している。

 浮島の森は植物の死骸(しがい)が積もってでき、森全体が沼に浮かぶ日本有数の「浮島」。面積は約5000平方メートルで、寒暖両地域特有の植物約130種が混成する珍しい植物群落。ところが、市中心部にあるため生活排水が流入し、沼の水質が悪化。群落が死滅する恐れがあったため、国と県による市田川(浮島川)河川浄化事業で、2000年に導水設備を完成させ、熊野川の水を引き込んでいる。
 その沼で今春、群落保存調査委員会の委員らがブラックバスらしき魚を見つけ、今年7月、調査のためルアー釣りをしたところ3匹が釣れた。小さいもので15センチぐらい、最大で二十数センチのものもいたという。
 委員会のメンバーで、熊野自然保護連絡協議会の滝野秀二副会長は、現在、100匹以上はいるのではないかとみており「ある程度の大きさのブラックバスだけなら誰かが他の場所で釣ったものを放したとも考えられるが、小さなものも多く、熊野川からの浄化用水に紛れ込んだと考えられる」という。
 いまのところ、熊野川から引き込んだ水の注ぎ口にネットを張ってブラックバスの混入を防いでいる。滝野副会長は「ブラックバスによる食害が心配されるような生物は沼にはおらず、島に直接害を及ぼすものではないが、天然記念物にはふさわしくない」と話している。市教委も「保存調査委員会と話し合いながら検討していきたい」としている。
 一方で、取水を管理する紀南河川国道事務所は「紛れ込んだ可能性がないとはいえないが、浮島に至るまでにはスクリューが回転するポンプが2カ所あるため、そこを魚が無傷で通過することは考えにくい」と話している。
熊野川では増加傾向
 国土交通省近畿地方整備局が行う「河川水辺の国勢調査」では、熊野川を含む新宮川水系でのブラックバスが増加傾向にあるという結果が出ている。調査によると、1990〜91年度調査では、熊野川下流域の相野谷川で1匹確認しただけだったが、2006年度調査では、下流域の熊野大橋で4匹、相野谷川で28匹確認しており、さらに中流域や上流域でも確認した。
 熊野川漁協によると、調査したことはないがブラックバスは増えているとみられ、アユが食われているのではないかという心配の声があるという。ただ、川は広いし、駆除をしようと網を入れると他の魚まで捕ってしまうため、決め手がないと困惑する。
 滝野副会長は「対策を打たなければ、このままでは増え続け、将来的に他の魚類層への影響が甚大になる」と危惧(きぐ)している。
■ブラックバス 
北アメリカ原産。釣魚として人気があるが、各地でブラックバスの侵入後、在来魚が激減したなどの報告がある。

+Yahoo!ニュース-和歌山-紀伊民報

Posted by jun at 2008年09月16日 16:10 in ブラックバス問題, 外来生物問題

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