【長野県】諏訪湖に今年も水草のヒシが繁茂している。アオコの発生が減り、水質改善が進むにつれ増えた。漁業への悪影響に漁業者は悲鳴を上げ、枯れた後の腐敗臭は評判が悪い。除去を望む声がある一方で、専門家は「諏訪湖浄化の過程で起きている変化。人為的に手を加えるのは慎重でありたい」と警告する。
ヒシはヒシ科の1年生浮葉植物。5−9月に湖沼の底から茎を伸ばし、水面に放射状に葉を広げる。諏訪湖では浄化が進み、透明度が上がった10年ほど前から増え、浄化の指標ともされた。近年は広範囲の岸辺に群落が広がる。
沖合300メートルに及ぶ群落がある下諏訪町高浜では、漁の舟を動かせず、漁業者が手作業の抜き取りを強いられている。ここを漁場にする諏訪湖漁協監事の吉沢忍さん(63)は、ワカサギやエビ漁への影響に声を荒らげる。
「ヒシが水面を覆うと、クロモなどの水草が光合成できず、湖水の溶存酸素が減り、エビは生きていけない。群落は外来魚の格好のすみか。ワカサギも捕食される」。吉沢さんは「水質は改善されても、それ以上に悪いことが起きた」と嘆く。ヒシが枯れ、湖底で腐敗、ヘドロ化することも心配だ。
信州大山地水環境教育研究センター(諏訪市)の宮原裕一准教授は、ヒシ繁茂を「アオコが消え、エビモやクロモなどの沈水植物に生態系が変わっていく過程」と説明。ヒシが及ぼす影響を認めつつ「ヒシがなくなれば、同じ栄養素で育つアオコに戻る可能性もある」と指摘する。
除去について「人間が手を加えることで何が起きるか、見極める必要がある。邪魔だから排除するというのでは早計ではないか」と話している。 (福沢幸光)
Posted by jun at 2008年07月10日 13:16 in 自然環境関連, 内水面行政関連