ヒブナの生息地として国の天然記念物に指定されている釧路市の春採湖(はるとりこ)で、ヒブナ産卵用の「人工水草」に今年も数多くの卵が産み付けられたことが、同市立博物館の調査で確認された。近年の水草類の激減に対応し、同館が昨年度から実験的に設置した。「水草代わりとして、十分な効果が実証された」として、来年度以降も設置を続け、ヒブナの生息・産卵環境の改善につなげる考え。
◇外来生物が激増、環境壊滅状態に
ヒブナはギンブナの突然変異種で、春採湖では毎年6月ごろ、マツモやリュウノヒゲモなどの水草に卵を産み付ける。しかし同湖では近年、特定外来生物のウチダザリガニが爆発的に増加。水草が食べられるなどして激減しており、産卵環境は今や壊滅に近いという。
そこで同館は、漁業用として製造・販売されている人工水草に着目。昨年6月に予備調査として同湖畔の1カ所に40本の人工水草を設置したところ、合計で数万粒規模もの産卵を確認した。本格実験として、今月6日、同湖畔の3カ所に計117本を仕掛けていた。
◇1.5メートルのロープに20センチひも植える
人工水草は長さ約1・5メートルのロープに約20センチのナイロンひもを植え込んだ構造で、9日に同博物館職員が調べたところ、設置した3カ所すべてで産卵が行われていた。すでにふ化も進んでいるが、ギンブナかヒブナかの見極めは、1年ほど経過しないと不明という。
同館の針生勤・館長補佐は「人工水草は卵の付着面積も大きく、十分有効なことがわかった。今後も稚魚の放流と合わせて、産卵環境の整備に努めていきたい」と話している。【山田泰雄】 6月18日朝刊