記録的な暖冬の影響で、琵琶湖北湖の水が冬に上下層で混ざり合う「全循環」が、3月に入っても不完全であることが10日、滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター(大津市)の調査で分かった。深層の酸素濃度が例年に比べて極端に低く、この時期に上層の酸素濃度と同レベルまで回復していない事態は、1979年の調査開始以来初めてという。夏に向けて湖底の低酸素化が拡大する恐れもあり、同センターは「低酸素化が進めば、底生生物などの生息環境に影響が出る可能性もある」と危機感を募らせている。
琵琶湖の酸素濃度は、水温が上がる夏から秋に、湖底のバクテリアが有機物の分解に酸素を消費することで下がる。冬になると、外気で冷やされて比重が重くなった酸素を含んだ表層の水や雪解け水が対流し、湖底に酸素を供給する。
同センターが9日、長浜市沖約5キロの北湖で水1リットル中に溶けた酸素量を調べたところ、表層から水深約50メートルまでは約10・6ミリグラムだったが、深くなると急に下がり、水深約70メートルでは約6・4ミリグラムと極端に低かった。
高島市沖約5キロでも、水深約50メートルまでは表層と同レベルだったが、水深約90メートルでは約8・1ミリグラムにとどまった。
同センターによると、例年3月には湖底の酸素濃度が表層と同レベルの1リットル中10ミリグラム前後まで回復するが、今後の気象予測や積雪状況から「完全に循環する可能性は非常に低い」という。
この事態を受け、滋賀県内の大学や研究機関の研究者有志らが10日午前、大津市内で会合を開き、北湖の水が完全に混ざっていない事実を確認した。その上で今後、協力して琵琶湖の監視を続けることを申し合わせる共同声明を発表した。
声明に参加した同センターの熊谷道夫・琵琶湖研究部門長は「3月になっても酸素濃度が戻らないのは異常だ。今後、低酸素状態が恒常化する恐れもあり、注視しなければならない」と話している。