◇異常繁茂で問題山積−−追いつかない刈り取り除去、付加価値見いだし解決へ
昨年夏から初秋にかけての琵琶湖南湖。大津市の膳所城跡公園付近の沖合は、水面を覆い尽くした水草によって一面に「浮島」が広がり、その上を水鳥が歩くような光景が広がっていた。
94年の大渇水を機に一気に繁茂したとみられる水草だが、ここ数年の夏場は特に多い状況だ。南湖の水草は戦前も繁茂していたと言われているが、県立琵琶湖博物館の芳賀裕樹・主任学芸員らが過去と現在の記録を精査したところ、水草の現存量(乾燥重量)は多かった1936年が約4000トン。50〜70年代にかけては500〜800トン程度と少なく推移し、94年を境に増加。02年には約1万700トン(誤差はプラスマイナス約3000トン)と過去最大となり、分布面積は南湖全体の4分の3に近い43平方キロとなったことが判明した。
水草は魚類の産卵、生息場所となり生態系には重要だが、近年の異常繁茂は、船の航行を妨げたり、成長とともに切れて浮遊する「流れ藻」が吹き寄せられて湖岸周辺を埋め尽くし、悪臭を放つなど、多くの問題を引き起こす。住民や漁業者、市町からの要請を受けて、県は水草刈り取り機で除去しているが、解決には至らない。
「負」の側面の一方で、水草繁茂は著しい透明度の向上という、プラスの影響をもたらしているとみられる。南湖は水深が平均4メートル程度。これまで2メートル程度だった透明度が最近では、湖底近くまで見えるほどだという。植物プランクトンの生育に必要な窒素やリンなどの栄養塩類を、水草が奪うことでプランクトンの量が減ることが原因と考えられる。
しかし最近、さまざまな問題が浮かび上がってきた。県琵琶湖・環境科学研究センターの一瀬諭・環境生物担当専門員らの研究では、浮遊する「流れ藻」が種類によっては大量の窒素やリンを水中に放出している可能性があると分かった。
さらに、芳賀さんらの研究では、水草の量が多い場所で湖底付近の水中の酸素(溶存酸素)の濃度が低下する傾向があることが判明した。琵琶湖でこれまで問題とされてきたのは、最大水深約104メートルと深い北湖での溶存酸素濃度の低下。浅い南湖は心配はないと思われてきたが、水草の異常繁茂が水の流れを停滞させ、酸素が回復しにくくなっている可能性がある。また、水域によっては水の停滞でアオコが発生しやすくなっている可能性も指摘される。
県は今年度、水草問題の作業部会を立ち上げ、これまでの研究成果の整理・活用に乗り出した。昨年9月には大津で市民参加の水草刈り取りイベントを開き、意識啓発を図った。問題解決への課題の一つは「刈り取った後、どうするか」。現在は刈り取り後に乾燥させて農地に還元するが、新たな有効利用法の模索が始まり、03年度からバイオガス燃料や土壌改良材としての製品化の研究が、今年度からは除草剤などへの活用研究がそれぞれ進められている。
水草に「付加価値」を見いだして問題解決につなげようという方向が実を結ぶか。取り組みは緒に就いたばかりだ。【服部正法】 1月7日朝刊