2007年01月06日

湖はどこへ:赤潮発生30年後の琵琶湖/1 湖底で何が/滋賀

 ◇深層水に変化の兆し−−謎の物質「メタロゲニウム」、新たな調査項目に
 昨年12月の琵琶湖北湖。波に揺れる実験調査船「はっけん号」の船上で、県琵琶湖・環境科学研究センターの職員たちが定期観測をしていた。水深別に水質を把握したりする調査だが、最近は新たな調査項目が加わった。筒型の採水器を湖底まで下ろし湖底表面の泥も採集する。「メタロゲニウムを調べるためなんです」。同センターの一瀬諭・環境生物担当専門員が言った。

 メタロゲニウムは20マイクロメートル程度の大きさの微粒子。マンガン酸化物の構造体だが、微生物なのか他の物なのかも不明の謎の物質だ。琵琶湖では02年10〜12月、北湖の深層の広い範囲で目立って観察されるようになった。湖底の泥の表面でマンガンが酸化し沈降するというメカニズムが、湖底付近の低酸素化の進行によって機能しにくくなり、発生につながっているのではないかとも推測される。
 琵琶湖北湖の低酸素化が長く指摘されてきた。91年には低酸素状態で発生するとみられる硫黄酸化細菌「チオプローカ」が北湖の湖底で国内で初確認された。04年冬には深層の水中の酸素(溶存酸素)が通常の8割程度しか回復しない状況も観察されるなど、進行を懸念する声が高まっている。一方、メタロゲニウムは05年夏には深層の酸素がある程度含まれる場所でも多く見られたり、冬期に大量に観察されることもあるなど、発生の傾向を少しずつ変化させながらすっかり“定着”してしまった。湖底付近で何が起きているのか。
 市民、学生らによる「20年目の琵琶湖調査団」(団長、石田紀郎・京都学園大教授)の03年の調査で、南湖の湖底泥中の窒素が85年から約20年間で約1・5倍となったことも判明。湖底に栄養塩が蓄積していることをうかがわせる結果となった。さらに深層水にも変化の兆しがあるようだ。
 同センターの熊谷道夫・琵琶湖研究部門長が、県水産試験場や同センターの観測データを精査し、北湖の水深80〜90メートルの水中の栄養塩「リン酸態リン」と「硝酸態窒素」の濃度の経年変化を分析した。リンは70年ごろまで、窒素は55年ごろまではほぼゼロ。ところがいずれもその後は右肩上がりで、リンは最近30年で2〜3倍程度、窒素は50年で5倍程度になっている。
 77年の淡水赤潮の大発生を契機に琵琶湖の富栄養化が注目され、県民、行政ともに琵琶湖の環境保全の機運が高まって、さまざまな対策が取られてきた。琵琶湖の富栄養化は収まり今では「横ばい」とされているが、深層の半世紀の変化に着目した熊谷さんのまとめでは、湖底付近での栄養塩の堆積(たいせき)を感じさせる。地球温暖化の影響で、表層と深層の水の循環が不完全になっている可能性を指摘する熊谷さんは「湖水の全体が混ざり、深水層でも酸素を回復するという琵琶湖のこれまでの状態が、混ざりあわないというこれまでと違う姿に変化している途中なのかもしれない」と危ぐを深めている。【服部正法】
 ×  ×  ×
 琵琶湖で淡水赤潮が大発生してちょうど30年。琵琶湖の環境はどのような課題を抱えているのか。現状を報告する。 1月4日朝刊

+Yahoo!ニュース-滋賀-毎日新聞

Posted by jun at 2007年01月06日 00:01 in 自然環境関連

mark-aa.jpg