南米原産で強毒性の特定外来生物「ヒアリ」の撃退にワサビなどの辛み成分が有効であることを、兵庫県立人と自然の博物館(三田市)の橋本佳明・主任研究員(62)が実験で突き止めた。ヒアリは2017年に国内で初確認され、水際対策が課題。ワサビ成分を含むシートを梱包(こんぽう)材として使い、侵入を未然防止できる可能性がある。国立環境研究所(茨城県つくば市)などと共同研究を進める方針だ。
ワサビなどの辛み成分「アリルイソチオシアネート」は防虫や抗菌効果があるが、揮発性の高さなどから効用が持続する使い方は難しかった。しかし、成分が徐々に放出されるようにしたマイクロカプセルを使い、東大阪市のベンチャー企業がシート状の防カビ剤などに製品化。アリ学が専門の橋本研究員はこのシートを標本の防虫用にと考えたが、「ヒアリに効果があるのでは」とひらめいた。
昨年10月、物流資材商社などと連携し、ヒアリの巣が多くある台湾で実験。餌入りのプラスチック管をアリ塚の周辺に置くと、餌だけなら1本当たり平均157匹のヒアリが入ったが、ワサビ成分入りシートを一緒に入れた管はゼロ。餌に群がった後にシートを管に入れたところ、死んだり逃げ出したりし、忌避効果を確認した。
環境省もこの研究結果に注目し、2月から自治体向けの「ヒアリ講習会」でこの手法を紹介するという。
ヒアリは17年5月、神戸港を経て兵庫県尼崎市に運ばれた中国からのコンテナ内で日本で初めて確認された。刺されると呼吸困難や意識障害などを伴うアナフィラキシーショックを起こす恐れがある。ヒアリが確認されたケースは昨年12月末までに14都道府県で37例に上り、定着阻止が課題となっている。
国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室の五箇公一室長は「天然成分を由来にしており環境にも健康にも影響が少ない優れた手法で、薬剤より扱いやすい。ヒアリ対策の国際標準にもできるのでは」と指摘している。【粟飯原浩】
Posted by jun at 2019年02月05日 10:04 in 外来生物問題