十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流で、本来の景観や生態系への影響が懸念される外来植物。繁殖が拡大しているセイヨウタンポポなどで、増加する行楽客や車両だけでなく、工事関係者らによって持ち込まれているとの指摘もある。過去に環境省が駆除に乗り出したものの、歯止めを掛けることができなかった“厄介者”だが、同省は本年度に再び予算を措置して対処する方針。「3年くらいかけて対策を講じたい」と喫緊の課題として向き合う考えだ。
記者は5月11日、石ケ戸休憩所から遊歩道に降りた所で、黄色い花を咲かせるセイヨウタンポポを確認。同22日には付近ののり面でも、セイヨウタンポポ、ヒメジョオン、ノゲシが見つかった。
外来植物は繁殖力が強く、侵入したら駆除が困難な上、放置するとどんどん拡大する。奥入瀬渓流で侵食が進むと、その魅力である原生的な景観が損なわれてしまう。
外来植物の種は行楽客の靴や衣類、車両によって持ち込まれるケースが考えられる。さらに、今回セイヨウタンポポなどが確認されたのり面は、かつて土砂崩れが発生し、復旧工事が行われた場所。昨年も同様の花が見つかっている。
地元の自然保護団体「八甲田・十和田を愛する会」の久末正明代表は「工事で持ち込まれた土砂の中に、外来植物の種が混入していた可能性がある」と推測。「高い場所なので、風に流されて拡散しなければいいが」と気をもむ。
同省は2014年度に外来植物の駆除に充てる費用を初めて予算化し、16年度まで継続。関係機関が協力し、地道な抜き取り作業を実施した。17年度は対策の効果や周辺環境の確認に当たったが、新たに繁殖した場所が見つかるなどしたため、駆除の再開を決めた。
同省十和田八幡平国立公園事務所の森川久所長は「外来植物の侵入は、さまざまな原因が考えられる。これ以上、増やさないために早めに取り組みたい」との意向を示す。
環境問題に詳しい岩手県立大総合政策学部の渋谷晃太郎教授は、奥入瀬渓流について「在来植物など従来の景観への影響を心配している」とした上で、「外来植物はゆっくりと侵入し、気付いたら周囲の景観が変わっていて、手遅れになることもある。早期の発見と対策が重要だ」と訴える。
Posted by jun at 2018年06月05日 10:55 in 外来生物問題