2018年03月21日

花見、数十年後に消滅…? 「クビアカツヤカミキリ」被害、各地で広がる

 春を彩るサクラなどに外来昆虫の脅威が迫っている。1月に特定外来生物に指定された「クビアカツヤカミキリ」だ。サクラやモモなどの木に寄生した幼虫が内部を食い荒らし枯死させるという。被害は大阪など7都府県に拡大。専門家は「数十年後には日本で花見ができなくなる恐れがある」と警鐘を鳴らしている。(細田裕也)

 「これがフラスです」

 大阪府大阪狭山(さやま)市の公園で今月9日、市公園緑地グループの赤阪幸司さん(33)はソメイヨシノの根元に広がった茶色の物体を指さし、そう言った。フラスは、クビアカツヤカミキリの幼虫が排出したふんと木くずの混合物。被害の有無を判断する基準の一つとされる。この公園では、十数本あるソメイヨシノのほどんどが被害に遭った。

 クビアカツヤカミキリの侵入ルートは不明だが、中国からの貨物に紛れたとみる説が有力だといい、平成24年に愛知県を皮切りに埼玉や東京、大阪などの計7都府県で確認されている。大阪狭山市で被害が初めて確認されたのは27年。大阪府内ではその後、堺市や富田林市などでも見つかるなど被害は拡大傾向にある。

 クビアカツヤカミキリは1匹の雌が最大約1千個の卵を産むなど、強い繁殖力が特徴で、成虫はサクラやモモなどの幹や樹皮の割れ目などに産卵する。卵は8〜9日後に孵化(ふか)し、幼虫はそのまま樹木に寄生。1〜3年かけて成長する間に内部を食い荒らす。薬剤を注入するなどの対策を取らなければ、木が枯死することが想定される。

 農作物への影響も懸念されている。徳島県は昨年、県内のモモ農家170カ所を調査したところ、77カ所で被害を確認した。全29本のうち28本が枯死した農家もいて「収入が半減したところもある」(担当者)。

 大阪府と隣接する和歌山県かつらぎ町では昨夏、雄の成虫1匹が見つかった。ただ、他の成虫や幼虫の寄生などは確認されず車両に乗って運ばれた可能性がある。和歌山は果樹王国として知られるだけに、県の担当者は「引き続き警戒を続ける」と話す。

 被害拡大防止に、各自治体などは(1)成虫を殺す(2)成虫が移動しないように木にネットを巻き付ける−などの対策を取っている。ただ被害拡大は止まらず、環境省は今年1月、クビアカツヤカミキリを特定外来生物に指定。輸入などが原則禁止となった。

 昆虫の生態に詳しい日本大生物資源科学部の岩田隆太郎教授は「繁殖力が強いため、十分な対策を取らなければ、20〜30年後に日本で花見ができなくなる恐れがある」と指摘。「市民感情としては微妙だが、被害にあったサクラがあれば、その木だけでなく、ためらうことなく周囲の木も全部伐採する必要がある」との認識を示した。

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Posted by jun at 2018年03月21日 09:58 in 外来生物問題

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