全国最多の約3万8千カ所にため池がある兵庫県。貴重な植物の宝庫だが、近年、開発や管理不足で周辺環境の荒廃が進み、絶滅の危機にある植物が急増している。そんな中、姫路市立手柄山温室植物園(同市手柄)は「一刻の猶予もない」と、貴重な種を独自に収集・生育する「系統保存」に乗り出している。(木村信行)
「ここで枯れてしまえば、兵庫で絶滅してしまう種もある。緊張します」
松本修二園長(63)が同園の「絶滅危惧種 系統保存ヤード」で話す。
素人目には水草や山野草でひとくくりにしそうになるが「絶滅の切迫度ならパンダよりも高い植物もある」。その数200種。兵庫県のレッドデータブック(2010年版)に記載されている約700種の約3割が保存されている。
日照、土、湿度。自生地ごとに異なる環境を再現して育てるのは至難の業だ。
同園が系統保存を始めたのは4年前。兵庫県南部にはため池などの湿地が多く、水中や土手は希少な植物の宝庫だった。だが、開発や改修工事に加え、アメリカザリガニなど外来生物、シカなどによる食害、農家や地域住民の高齢化による管理不足などさまざまな要因が重なり、いつのまにか姿を消す植物が増えてきたという。
「見たことのない植物があるのですが…」。14年、上郡町のため池で決壊の危険度調査をしていた専門家から同園に電話が入った。駆けつけると、県内では絶滅の危機にあったチョウジソウが100メートル以上も群生し、小さな青い花を咲かせていた。
ため池は改修工事が予定され、放置すれば貴重な自生地が失われる。株の一部を同園に「一時避難」し、系統保存を決めた。
こうしたケースがある一方で、公共工事や民間開発が希少植物に十分な配慮のないまま進められることも多いのが現状だ。
「植物の緊急避難場所を提供するのも植物園の役割。生育に配慮した工法の提案など、やるべきことは多い」。松本園長の危機感は強い。
Posted by jun at 2017年11月13日 13:18 in 外来生物問題, 魚&水棲生物, 自然環境関連