世界文化遺産の姫路城(兵庫県姫路市)で、城域で生息するシュロやニワウルシといった外来生物が次々と増殖し、根が石垣の隙間に侵食するといった影響が懸念されている。市は3月からシュロの伐採に取り組むなど、本格的な駆除に乗り出しているが、難攻不落といわれた名城への思わぬ“攻撃”に関係者も困惑している。
市によると、これまでに城域で中国原産とされるシュロやニワウルシ、ヨーロッパ原産のセイヨウタンポポ、特定外来生物で南米原産のヌートリアなどの存在が確認されている。
特に文化財への影響が懸念されるのは、根が太く伸びるのが速いのが特徴というシュロとニワウルシ。姫路城の北西部で生息が確認されており、国重要文化財に指定される百間廊下の土台部分や、西の丸の石垣の隙間などに入り込んでいるとみられ、このまま放置すると文化財が損傷する恐れもあるという。
とりわけシュロは、百間廊下などの文化財と内堀との間に広がる「姫山原始林」で大量繁殖。推計で約500本あるとみられる。市は3月上旬に行った駆除活動で、堀に近いエリアで約80本を伐採。しかし、現場は急斜面で、人が入りにくく一気に進まないのが現状だ。
さらに、姫路城管理事務所によると、「国の特別史跡の中なので根を掘り返すことができない」といい、駆除活動で伐採を行うことでシュロの増加を抑制することはできるが、根絶やしにするのは難しいという。
また、西の丸の石垣などに生息する落葉高木のニワウルシは、入り込んだ根が石垣の形状を変え、強度を弱めるとして、市がニワウルシの駆除を計画中。薬剤を散布して枯れ始めたころに伐採するとしている。
昨年5月にはヌートリアが姫路城の中堀で初めて確認された。堀の石垣の間に巣を作れば、石垣内を空洞化させる恐れがあり、同事務所が警戒を強める動物だ。おりを仕掛けて5匹が捕獲されて以降、目撃情報は途絶えたが、監視を続けている。
平成23年に策定された姫路城跡整備基本計画では、石垣や城の建造物に影響を及ぼす恐れが高い樹木を優先的に伐採すると規定。市は「早期に取り組まないと文化財を守れない」として今年度から本格的にシュロなどの伐採を進めていく方針だ。
市文化財課によると、そもそも築城当初の姫路城は敵の動きを把握するため、城内に樹木がほとんどない状態だったという。同課の大谷輝彦課長補佐は「オリジナルの維持を尊ぶ世界文化遺産の精神からみれば、江戸時代の城の風景と現在が異なっているのは望ましくない。城内の植生のあるべき姿を追求したい」と話している。
Posted by jun at 2017年05月17日 16:46 in 外来生物問題