外来生物のカミツキガメの発見が各地で相次いでいる。農家が水田や農業用の水路で遭遇したり、トラクターで巻き込んだりする例もある。陸に揚げられた個体は攻撃的で、大型個体にかまれると大けがをする恐れがある。活動が活発になり始める春先は、田植え準備などで特に注意が必要だ。千葉県は2月に専門の職員を採用して捕獲の強化に乗り出し、静岡県では市民参加型の捕獲調査を進めている。
千葉県定着 1万6000匹も 専門職採用 捕獲を強化
千葉県佐倉市の印旛沼流域。田の脇に幅1、2メートル、深さ35センチほどの農業用水路がある。水がたまって底は泥があるような場所が、カミツキガメの好む環境だ。2月下旬、県は地域の許可を得て調査と捕獲作業をした。200メートルの間に、泥の中で越冬するカミツキガメ(甲羅の長さ約22センチ、重さ3キロ)1匹が見つかった。
周辺で米を生産する密本節夫さん(66)は「トラクターに3回引っかかったことがある。石に当たったような感触があった」と話す。かみつかれる危険性を踏まえ、「田んぼに子どもが近づいた場合は離れるように声を掛けている」という。発見した場合は警察や、JA千葉みらいの協力を得て市に連絡している。
幸いこの亀による大きな被害はないものの、農家は「田植えの時期や水路で見掛ける」「逃げ足が速い」と困惑気味だ。
調査に当たったのは県が捕獲強化のため2月に採用した、亀の生態に詳しい今津健志技師。カミツキガメの防除には「水路掃除が効果的」と説明する。県生物多様性センターによると、県内に生息する推定数は2015年度で1万6000匹。県は捕獲を強化しようと、従来の春〜秋に加え越冬中の捕獲にも乗り出した。同センターの熊谷宏尚副技監は「捕まえやすい場所や時期の情報提供など、農家と協力して捕獲作業を進めたい」と話している。
静岡 徳島 農家に注意喚起
カミツキガメは静岡県でも定着が確認されている。静岡市では15、16年の夏、市民が参加してわなを仕掛け、捕獲調査をした。今夏も実施予定だ。静岡大学の加藤英明講師によると、今後も全国で拡散していく可能性があるという。加藤講師は「行政が主体となり、市民の協力を得て地域で解決していくことが大切。農家が農作業で遭遇するケースもあるため、カミツキガメの存在を知っておいてほしい」と話す。
徳島県鳴門市でも発見例がある。JA大津松茂によるとレンコン畑で見つかった。作物などに影響は出ていないものの「農家がかまれないか心配」(JA大津支所指導販売課)と気をもむ。(隅内曜子)
<ことば> カミツキガメ
北米から中南米にかけて自然に分布している亀。日本でも全国各地で見つかっており、外来生物法で生態系や人の身体、農林水産業に被害を及ぼす恐れのある「特定外来生物」に指定され、飼育や運搬などが制限されている。甲羅の長さは最大50センチほど。かみつかれると指が食いちぎられる恐れがある他、雑食性で魚などを捕食し生態系に影響を与える懸念もある。1960年代にペットとして輸入され、野外に捨てられたとみられる。
外来生物は、本来の生息地から人の活動で運ばれた動植物。特定外来生物は、16年10月時点で動植物132種類が指定されている。環境省は外来生物の生息拡大を止めるため「各地で情報を共有し、早期に対策を取ってほしい」(外来生物対策室)と呼び掛けている。
Posted by jun at 2017年03月09日 11:40 in 外来生物問題