外来植物のナルトサワギクの発生が西日本を中心に全国に拡大し、農業にも影響を及ぼしている。特に拡大が問題となっている兵庫県・淡路島では、深刻な鳥獣害で耕作放棄された農地に繁茂し、営農再開が難しくなる“ダブルパンチ”に農家が頭を悩ませている。一度繁茂すると完全に駆除するのが難しく、毒性があり放牧などへの影響も懸念される。
手に負えぬ、家畜も心配 兵庫・淡路島
環境省によると、1976年に徳島県鳴門市で確認されて以降、兵庫県や大阪府南部で急速に広がり、2009年度までに西日本を中心に16府県で分布が確認された。
特定外来生物に指定されている。14年11月時点で、山形県や群馬県など東日本を中心とする7都府県で、自治体や民間団体がナルトサワギクの計画的防除の確認・認定を受けており、全国的に広がりを見せている。
ナルトサワギクの調査や防除方法の研究を進める兵庫県立淡路景観園芸学校によると、同島では04年ごろから見られるようになり、急速に分布が拡大したという。
葉に毒性があるのも特徴の一つ。オーストラリアでは、放牧地で牧草と混ざり家畜が中毒になる事例も報告されており、酪農、畜産が盛んな同島でも被害が懸念される。
光を好む植物のため、道路ののり面や裸地となっている荒廃農地も格好の生育地だ。同県洲本市竹原地区では、全農地約2.7ヘクタールの7、8割ほどを占める荒廃農地で繁茂。中山間地の同地では、鳥獣害の影響で荒廃農地が増加したところに繁茂し、事態は深刻だ。
トラクターですき込むと種を運んでしまう恐れがあるため、営農再開には除草作業が必要で農家の負担は大きい。農地取得希望者が来ても、ナルトサワギクが繁茂した状況を見て断念したこともあったという。
同地で観光農園を営む水田進さん(67)は「獣害がなく、耕作できていればここまで繁茂しなかったはず」と話す。水稲と和牛繁殖を手掛ける太田明広さん(59)も「獣害と外来植物で営農意欲がなくなる」と表情を曇らせる。自身も飼料作物を栽培する予定だったが、家畜への影響を懸念し諦めたという。
防除法確立へ 竹チップ試験
拡大を食い止めようと、太田さんらは淡路景観園芸学校などと協力し、防除方法の試験を進めている。同島で問題となっている放置竹林の伐採で発生する竹チップを、裸地となった地面に敷き詰めるというもの。種子が入り込みにくくなり、光も遮られるため生育を阻害できるという。同校校長で同県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科長の藤原道郎教授は「地表を覆うことが効果的。竹チップによる防除は、管理の手間もなく持続性も高い」と期待する。
太田さんは「集落だけで解決するのは難しい。営農再開も見越した自治体などの抜本的な対策が必要」と要望する。(斯波希)
<ことば> ナルトサワギク
南アフリカなどが原産のキク科の植物。一年に複数回花を咲かせ、種子はタンポポ同様、綿毛で風に乗って運ばれ繁殖能力が高い。米国から輸入されたシロツメクサなどの種子に混入していたと考えられている。特定外来生物は16年10月現在で動植物132種が指定され、植物はナルトサワギクなど16種類。