兵庫県川西市の市街地を流れる人工水路で、付近の自然河川では見られなくなった淡水魚など希少種を含む30以上の水生生物が、NPO法人「野生生物を調査研究する会」(同市)によって確認された。同法人は“奇跡の水路”と評価。市はこの水路が延びる都市再開発事業「キセラ川西」区域内でも、多様な生物のすむ「せせらぎ」の整備を行う。自然河川でいなくなった生物が、なぜ人工水路で生存するのか−。そのなぞを取材した。(篠原拓真)
水生生物が確認されたのは、同市滝山町から市中心部に流れる農業用水路約500メートル。幅は2〜3メートルで、底はコンクリート、側壁の一部に石が埋め込まれている。昭和40年代に整備されたとみられ、水路はさらにキセラ川西内にも延びている。
同法人が1998年以降、調査を続けており、これまでに兵庫県レッドデータブックBランク(絶滅の危機が増大している種)のヤリタナゴのほか、ドンコ、ヨシノボリ、ゲンジボタルなど30種以上を確認。良好な水質の指標となるヘビトンボの幼虫なども生息していた。
ヤリタナゴなどは、水路の上流にある猪名川では見られなくなった水生生物だ。なぜ、人工水路で確認できたのか。
同法人のメンバーで、環境カウンセラーの牛尾巧・川西市教育長(63)がこう分析する。「底が浅く、ヤリタナゴの天敵、ブラックバスが入りにくい。ヤリタナゴの産卵に必要な貝類のマツカサガイがいることも要因」
猪名川本流に比べ、水流が緩やかでマツカサガイが育ちやすいという。また、底には15センチほどの砂れきや泥もあり、牛尾教育長は「都市部の水路としては、とても良い環境。30種以上の水生生物が残っているのは奇跡に近い」と誇った。
阪急川西能勢口駅約600メートル北側の約22・3ヘクタールでは、住宅街や公園などの「キセラ川西」整備事業が進められており、市は“奇跡の水路”を参考に生物豊かなせせらぎの実現を目指している。
砂れきや泥が堆積しやすいよう、せせらぎの底に凹凸をつけ、全長620メートルのうち100メートルが完成。8月に調査すると、23種の生物が確認できたという。
同市地区整備課の北野啓介課長(50)は「生物の卵がまだ見つかっていないが、貴重な生態系を市民全体で守っていけるようにしたい」と意気込んでいる。
Posted by jun at 2016年09月25日 16:59 in 外来生物問題, 魚&水棲生物, 自然環境関連