静岡県水産技術研究所伊豆分場(下田市)は14日、キンメダイの人工ふ化に成功したと発表した。キンメダイは資源量が激減し、主要産地の本県でも水揚げ量が大きく落ち込んでいる。伊豆分場は「資源回復に向けた稚魚の放流を目指して、種苗生産の研究に取り組む」としている。
伊豆分場は産卵期に入った今月9日、伊豆半島と利島の間の海域で親魚81匹を捕獲。船上で人工授精した。水温管理した伊豆分場の水槽に持ち帰り、11日に約2300個がふ化したという。
稚魚は現在、体長3・6ミリ。動物プランクトンによる餌付けを13日から開始した。上席研究員の野田浩之さんは「強化剤により、餌となるプランクトンの栄養価を高めた。まずは国内最長記録となる3週間以上育て、データの蓄積と飼育管理技術の開発につなげたい」と話す。
県の人工ふ化研究は1985年を最後に中断していたが、不漁に直面する漁業者からの要望を受け、2015年度に再開した。15年度は8〜9月に人工授精を試みたが、精子の状態が悪く失敗。本年度は親魚の捕獲時期を早めて、ふ化につなげた。
キンメダイは太平洋側の海底付近などに生息する深海魚。静岡、千葉、神奈川県、東京都が主要産地だが、生態は謎に包まれている。人工ふ化後の最長生存期間は県内で10日、全国的にも3週間で、稚魚の放流に至っていない。
■県内漁業者 強い危機感 漁獲量76%減 ピーク時1984年比
県水産技術研究所伊豆分場によると、2015年の県内のキンメダイ漁獲量は1839トン。ピークだった1984年の7844トンから76・6%減少した。人工ふ化研究の背景には、資源減少に対する漁業者の強い危機感がある。
日本一を誇る下田港(下田市)の水揚げ量は今年、前年同期比13〜14%減で推移している。伊豆漁協の佐藤泰一組合長は「かつてない厳しい状況。特に、サメに食べられてしまう食害が深刻化している」と訴える。
全国的な漁獲量の大幅な落ち込みを受け、水産庁は本年度、キンメダイを資源評価対象種に指定した。今秋にも生息数や漁獲適切量などを科学的なデータとして示し、千葉県から鹿児島県沖の広範囲で資源管理の対策を検討する。同庁資源管理部管理課は「静岡県の人工ふ化は資源回復に向け、注目すべき研究」と期待する。
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Posted by jun at 2016年07月18日 11:56 in 魚&水棲生物