2015年11月02日

<アライグマ>九州席巻…10年で捕獲80倍、住宅被害深刻

 農作物を荒らすことなどから、国の「特定外来生物」に指定されているアライグマの捕獲数が、九州で急増していることが分かった。毎日新聞が各県に取材したところ、2004年度は計30頭だったが昨年度は2400頭を突破した。九州北部に限られていた範囲も拡大しており、13年度は熊本、昨年度は鹿児島、先月は宮崎でそれぞれ捕獲され、初めて九州全県で確認された。専門家は「九州全域で定着する瀬戸際だ」と警鐘を鳴らしている。【中村清雅、杉山雄飛】

 各県への取材によると、九州で初めてアライグマが捕獲されたのは長崎県。1997年、佐世保市と東彼杵(そのぎ)町で各1頭が捕獲された。正確な記録があるのは特定外来生物に指定される前年度の04年度以降で、04年度の捕獲数は長崎県29頭、福岡県1頭。その後、アライグマによる農作物被害が増え、13年度以降は2000頭を超えた。

 九州で捕獲数が最も多いのは長崎県。佐世保市が突出しており、昨年度は県全体の5割を超える639頭が捕獲された。佐世保市によると、最も深刻なのは生活環境被害で、民家の屋根裏にすみ着き、ふんや尿が天井から染み出したり、夜間に騒音を発したりするなどの相談がある。

 長崎県によると、アライグマによる農業被害は昨年度までの4年間で約640万円。佐世保市ではハウス栽培のミカン、イチゴなどが被害に遭っている。市は地元猟友会に捕獲を委託しているが、アライグマは繁殖力が強く年3〜6頭出産するため、同県の担当者は「確実に増えている」としている。

 鹿児島県では今年1月、初めて捕獲された。姶良(あいら)市の山中で、イノシシ用のわなにかかっているのを地元猟友会の70代男性が発見。7月にも霧島市で1頭捕獲された。県の担当者は「群れではなく単独で生息していた可能性が高い」。宮崎県でも先月11日、日之影町でイノシシ用のワナにかかっているのが見つかった。

 埼玉県農業技術研究センター・鳥獣害防除研究チームの古谷益朗(ふるや・ますお)担当部長は「温暖な九州で生息地を広げている可能性がある。畑や家屋に侵入させないようにしなければ、被害が確実に増えていく」と話す。狂犬病などの感染源になる可能性もあり、佐世保市の担当者は「見つけても手を触れないように」と呼びかける。

 関門海峡を隔てた山口県では10年5月、アライグマが初めて捕獲された。その後、年々捕獲例が増え昨年度は67頭。島根県に隣接する地域で増加していることから、山口県の担当者は「生息域が島根側から拡大している」と分析する。農作物の被害もあり山口県は2月、防除計画を策定。猟師らでつくる「有害鳥獣捕獲隊」が、わなを設置している。

 ◇特定外来生物◇

 国外から持ち込まれた動植物で生態系や人の生命、農林水産業に被害を及ぼしたり及ぼす可能性のある生物。05年施行の外来生物法に基づき、動植物合わせて110種類が指定されている。指定後は飼育、栽培、輸入などが原則禁止される。北米原産のアライグマはアニメ「あらいぐまラスカル」の影響などで1970年代ごろからペット用として輸入されたが、飼育放棄などで野生化が進み05年に指定された。12年度は全国で約3万頭が捕獲された。

+Yahoo!ニュース-国内-毎日新聞

Posted by jun at 2015年11月02日 11:51 in 外来生物問題

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