2015年06月11日

ハワイの生態系は輸入品?大阪・咲くやこの花館で文化展

 豊かな自然に恵まれた楽園のイメージが強いハワイで、固有種の植物たちが絶滅の危機に直面──ハワイの知られざる一面に焦点を当てた植物展「ハワイ・花と文化展」が、大阪市鶴見区の咲くやこの花館で開催されている。ハワイの生態系の仕組みや世界的観光地へ発展する過程など、植物と人々の暮らしぶりにスポットを当てた展示を楽しみながらハワイ通になれるチャンスだ。

 すべて輸入品でできたハワイの生態系

 ハワイの歴史は意外と浅い。日本列島が地殻変動を経て現在の姿に落ち着いたのは、今から1500万年前。一方、ハワイ諸島は火山噴火で43万年前にできたばかりだ。溶岩が冷えて固まった丸裸の島だった。植物も鳥も動物もいないゼロからのスタートで、ハワイの生態系はすべて輸入品でできているわけだ。

 最初に活躍するのは、進化論のダーウィンが指摘した3W。風(Wind)、翼(Wing)、海水(Water)が移動手段となり、生き物や植物が海流や風に乗ったり、鳥に付着したりして、ハワイ諸島に辿り着く。厳しい環境に適応しながら独自の進化を遂げ、他地域には存在しないハワイ固有種に生まれ変わる。

 「本当のハワイを知ってほしい」

 次の変化は2000年ほど前で、ポリネシアンが新天地を求めてカヌーで到着。食用となるタロイモなどを持ち込んだ。穏やかな自給自足生活が長く続いたのち、200年ほど前に近代文明と遭遇。世界的観光地へ発展する途上で、多くの植物が持ち込まれ、南国の楽園にふさわしいイメージ作りに動員される。

 ハワイの花らしい色鮮やかなアンスリュームは、南米が原産地だ。ハワイの植物は、持ち込まれた3つの時期によって、野生種、伝統種、外来種に分けられている。

 「ハワイ・花と文化展」はハワイの成り立ちを辿りながら、植物と人々の暮らしぶりにスポットを当てる。久山敦館長は「日本人はハワイへ出掛けると、CMに出てくるハワイだけを見て満足して帰りがちだ。ハワイ観光を楽しむ一方で、本当のハワイを知ってほしいとの思いから企画した」と話す。

 「適応放散の王者」に想定外の強敵登場

 会場では野生種から外来種まで、約40種類の植物を展示。本当のハワイを象徴する野生種植物の代表格がギンケンソウだ。「適応放散の王者」と呼ばれ、アメリカ西海岸からハワイ諸島に進出したのち、低地から標高3千メートルの高地までに生息地を拡大した。

 「生息する環境によって原型を留めないほど姿を変えて生き残ってきた。高山植物になった仲間は、銀色の毛を生やして日光を反射させて、強い日差しから身を守っている」。ハワイに高山植物がいるのも意外なニュースだが、このしたたかな適応放散の王者が、絶滅の危機に直面しているというから、もっと驚く。王者の前に現れた敵は植物ではない。

 「アルゼンチンアリという手強いアリの集団がハワイ諸島に上陸。ギンケンソウの花粉を運んでくれるハチの幼虫を大量に食べるため、ギンケンソウの繁殖が厳しくなっています」(久山館長)

 ギンケンソウは絶滅危惧種に指定されている。国内でギンケンソウを栽培展示しているのは、咲くやこの花館だけだ。

 自然との向き合い方を考えるヒントに

 中進国の経済発展などに伴い、豊かな大衆が急増する中、世界的規模で観光市場が拡大している。

 久山館長は「観光振興と自然保全のバランスをいかにしてとるか、悩ましい問題だ。ハワイだけではなく、日本でも課題となっている」と指摘。「自然と向き合うヒントを、ハワイの植物たちとふれあうことで見つけてほしい」と呼びかける。

 「ハワイ・花と文化展」は今月28日まで。午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)、月曜休館(月曜が休日の場合、翌日休館)。入館料大人500円、中学生以下無料。詳しくは咲くやこの花館の公式サイトで。(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)

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Posted by jun at 2015年06月11日 15:01 in 外来生物問題, 自然環境関連

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