2012年に国内で初めて長崎県の離島・対馬で確認され、生態系への影響が懸念されている外来種「ツマアカスズメバチ」を環境省が昨年夏と秋に調査したところ、138カ所中3〜4割の場所で捕獲されていたことが分かった。島全域に生息範囲を広げていることが裏付けられ、専門家は対馬以外の国内に拡大するリスクが高まっているとみている。
◇環境省が「特定外来生物」指定、駆除強化へ
政府は今月、ツマアカスズメバチを外来生物法に基づく「特定外来生物」に指定した。3月1日以降、飼育や輸入を原則禁止し、駆除を強化する。
ツマアカスズメバチは中国やインドなどが原産。体長2〜3センチで、ミツバチなどの昆虫を捕らえて食べる。繁殖力や攻撃性が強いことで知られ、韓国や欧州では在来種の激減との関連が指摘されており、養蜂業への打撃が懸念されている。対馬には韓国との定期航路があり、船で入った可能性が高いとみられ、島北部で初めて確認されて以降、対馬市や環境省が巣の駆除などに取り組んでいる。
環境省は昨年夏(7月24日〜8月5日)と秋(9月27日〜10月9日)、島内138カ所で初の実態調査を実施し、夏は43カ所で計109匹、秋は62カ所で計440匹を捕獲した。島の北部で生息密度が高かったが、活動が活発な秋は、南端部の対馬市厳原町豆酘(つつ)でも捕獲された。環境省九州地方環境事務所(熊本市)の横田寿男・野生生物課長は「分布の範囲が急速に拡大していると考えられる」と分析している。
空港や港の周辺でも捕獲されたことから、対馬市でツマアカスズメバチを調べている九州大の上野高敏准教授(天敵昆虫学)は「対馬を起点に、本州や九州へ侵入するリスクが高まっている。今後は侵入ルートを明らかにして、検疫のあり方などの対策を講じるべきだ」と指摘する。
国内では少なくなったと言われるニホンミツバチの養蜂が対馬ではまだ続いており、影響が懸念される。上野准教授は「根絶への有効策はないが、巣の駆除を徹底して増加を食い止める必要がある」と話している。【小畑英介】
Posted by jun at 2015年01月28日 12:20 in 外来生物問題