2014年11月07日

<アライグマ>福島避難区域で生息域拡大 住民帰還にも影響

 原発事故の避難区域を中心にアライグマの生息域が拡大している。福島県が昨年度までに行った調査では14市町村で目撃情報があったり捕獲されたりしているが、今年度は新たに4町村に広がった。事故で住民が避難したのに加え、アライグマは天敵がおらず繁殖率も高いため、帰還困難区域などの民家をふん尿で汚したり、柱をかじって傷つけるなどの被害が続出。農業被害も懸念され、住民からは「このままではますます帰還意欲がそがれてしまう」と不安の声が上がる。

 福島県自然保護課によると、アライグマは2000年に県内で初めて南相馬市原町区で確認。12年までに15頭を捕獲した。また同課は過去2回調査を行い、06年度に8市町村、13年度に8市町(うち2市が重複)で生息を確認している。今年度、新たに目撃情報や捕獲が確認されたのは、避難区域の大熊町、飯舘村と葛尾村。さらに避難区域に隣接する広野町でも10月21日に1頭捕獲された。

 アライグマの生態を調査している南相馬市博物館によると、同市内の海岸線を中心に目撃数や捕獲数が増加しており、原発事故で住民が避難したこともあり、生息域が拡大したと考えられるという。同博物館は、同市内で00年3月〜11年2月の12年間で8頭(うち幼獣2頭)の捕獲を確認したが、11年3月〜14年3月の事故後3年では26頭(うち幼獣6頭)に増加。1頭が年に平均3〜4頭出産するといい、幼獣が多く見つかったことが繁殖率の高さを示している可能性があるという。

 浪江町から二本松市に避難している豊田動物病院の豊田正獣医師(63)は「寒くなれば人の住んでいない家にアライグマがすみ着いてしまう。このまま放っておくとアライグマによる人家汚染が進み、住民の帰還がますます難しくなるのでは」と危惧する。同町の産業・賠償対策課は「地元猟友会などに駆除をお願いしているが、イノシシ駆除も大変で手が回っていない」と頭を抱える。

 環境省によると、全国のアライグマの捕獲数は91年は9頭だったが、10年には約2万5000頭に達した。農作物を荒らすなどの被害が相次ぎ、同省は05年に飼育や放すことを禁じる「特定外来生物」に指定したが、12年には全国で約3億3000万円の農業被害(農林水産省の統計)をもたらした。

 アライグマの生態に詳しい日本獣医生命科学大獣医学部の加藤卓也助教は「被害を抑えるには、野生のアライグマを一頭でも多く捕獲することが唯一の方法。それが進まない限り数は増え続け、手がつけられなくなる」と指摘する。【宮崎稔樹】

+Yahoo!ニュース-社会-毎日新聞

Posted by jun at 2014年11月07日 14:26 in 外来生物問題

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