今、日本では放流による淡水魚の外来魚化が加速している。遺棄や逸出も含めた広い意味での放流は、水産放流と私的放流に大別される。前者は殖産や遊漁など漁業を目的としたもので、主に漁協によって行われる。明治期以降、ニジマスやワカサギなど、国内外の水産有用種が各地で放流されてきた結果、数多くの外来魚を生み出した。
一方、私的放流はどんな魚をいつどこに誰が放すのかが明確ではない点で水産放流とは大きく異なる。イワナ、コイ、ミナミメダカなど、今も各地でさまざまな魚類が放流され、分布のかく乱や遺伝子汚染、競争や捕食などの問題を引き起こしている。最近では、オヤニラミのような絶滅危惧種の外来魚化や、沖縄のダム湖で大量に繁殖している多種多様な外国産熱帯魚など、何か特別な意図を感じざるを得ない事例も増加している。
水産放流の多くは計画的かつ一定の合意の下に行われてきた経緯があり、解決に向けての方策も立てやすい。しかし私的放流は人の意識が変わらない限り止められない。それがどのような理由を付けても正当化できない悪行になりかねないことを強く啓発する必要があるだろう。(県立生命の星・地球博物館学芸員 瀬能 宏)=毎週金曜日掲載
Posted by jun at 2014年08月20日 16:15 in 外来生物問題