滋賀県内で唯一、彦根市の彦根城中堀に自生している大型のハス「オニバス」を守る市民活動が広がりを見せている。市民団体「彦根城オニバスプロジェクト」が昨年から始めた、苗を自宅で育てるオニバス里親が好評で昨年は40人、今年6月も16人が応募し、50人を超える会員が世話を続けている。
オニバスはスイレン科の一年草。環境が良ければ直径約1メートルの円形の葉を広げ、8、9月には赤紫の花を咲かせる。環境省レッドリストで絶滅危惧種とされ、市の天然記念物にも指定されている。一時は中堀の水面いっぱいに自生していたが、一昨年と昨年は茎葉の成長が確認できなかった。原因の一つに外来種のカメによる食害が挙げられている。
そこでオニバスを守るために同プロジェクトが彦根市民に限り昨年から苗の提供を始めた。苗は中堀で採った種から育った市役所前の池のオニバスがもとになっている。
2年連続で里親を務める妙楽寺自治会長の古川学さん(61)は自宅前に樹脂製の水槽(縦40センチ、横60センチ)を置き試行錯誤を続けながら育てている。「昨年は花が四つ咲き、38個の種が取れた。今年も自宅で花が咲くのが楽しみで、20年前のように中堀がオニバスの葉っぱで覆われるように戻れば」と夢を話す。
今年は2年ぶりに中堀で約10株が確認できた。同プロジェクトの渡邊輝世代表(78)は「活動を通じて多くの市民にオニバスを知ってほしい」と期待していた。