国内で動植物が人為的に移動することによって、各地の生態系に悪影響を及ぼす例が増えていることを受け、国はこのような動植物の移動を「国内由来の外来種」と位置づけ、防除マニュアルを含む初の行動計画を年内にも策定する方針を固めた。日本は海外からの外来種については法律などで厳しく規制しているが、国内対策は遅れていた。
各地の水田や湿地に生息するメダカは、元々長距離を移動することはなく、地域ごとに独特の遺伝子を持つ。その一つが東京都内に昔から生息する「東京めだか」。だが、現在、自然下で生息している可能性があるのは2カ所のみと、絶滅の危機にある。都内のほとんどの場所では、元々いない観賞用メダカが放流されるなどして、遺伝子が変わってしまう「かく乱」が起きているという。自然学習や自然保護の名目で、地域の在来種を考慮しない放流などが実施されてきたことも、国内外来種の拡大につながったとみられる。
長野県松本市の上高地では、初夏にホタルが乱舞し、観光客を喜ばせるが、専門家の調査によると、それらは西日本由来のゲンジボタル。人為的に流入した可能性が高い。生態系への悪影響を懸念した環境省は、駆除を検討している。北海道には元々カブトムシはいなかったが、道外から持ち込まれて繁殖し、他の昆虫とエサを奪い合う「競合」などが起きている。
海外から流入する生物については、国は2004年に外来生物法を制定し、規制を始めた。一方、国内の外来種対策は各自治体に任されており、12年2月現在、12都県が条例を定めて対策を進める。このため国は、「外来種被害防止行動計画(仮称)」をまとめ、国として国内外来種のモニタリング手法を整備し、早期段階での防除、資金的支援に取り組むことを決めた。
元京都大講師の村上興正さん(保全生態学)は「放流が自然を豊かにするのではなく、むしろ生態系を壊してしまう場合がある。一見して自然豊かな状態が、地域独自の自然に悪影響を与える可能性を知ってほしい」と強調する。【渡辺諒】
Posted by jun at 2014年05月20日 10:54 in 外来生物問題, 魚&水棲生物, 自然環境関連