古都・奈良を代表する観光地・猿沢池(奈良市)で、外来種のミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)が大増殖し、奈良県が初めて駆除に乗り出すことが3日、分かった。ミドリガメは池に生息するカメの約9割を占め、在来種のニホンイシガメなどを圧倒。県は来年2月に池の水を抜く際、池に戻さず一掃したい考えだが、世界遺産の興福寺に隣接する池だけに、担当者は「寺の近くで殺生はしたくない」と、引き取り手を探すなどの対応策を検討している。
ミドリガメは北米原産の外来種。日本の在来種に比べて産卵数が多く、繁殖力も強い。増殖すると、餌だけでなく、日光浴や産卵場所も独占して在来種を駆逐していく。輸入や飼育、遺棄を禁じた外来生物法の「特定外来種」には指定されていないが、全国的にも増殖が問題化しているため、環境省が段階的な規制の検討を始めている。
県によると、平成8年に池の水を抜いた際の調査では、ミドリガメが78匹とカメ全体の15%程度だったが、16年のサンプル調査では196匹に増え、全体の86%に達した。
池では毎年4月、興福寺がコイや金魚を放流して殺生を戒める法要「放生会(ほうじょうえ)」を営んでいるが、カメは放流していない。繁殖の理由について県の担当者は「誰かが飼いきれずに捨てた可能性が高い」とみている。
8年の調査時には、ミドリガメへの危機意識は高まっておらず、水を抜いた際に近隣のプールなどに預け、後日すべて池に戻していた。しかし、来年2月に池の水流調査などで水を抜く際には、池に戻さず駆除することを検討している。
県の担当者は「在来種や生態系を守るため、やむを得ない」としつつ、放生会の精神も重視。駆除後の引き取り手を探すなど、専門家とも協議して対応を決めたいとしている。
ミドリガメの生態に詳しい愛知学泉大の矢部隆教授の話「駆除はかわいそうに思えるかもしれないが、人間が連れてきたせいで本来の生態系が攪乱(かくらん)されている。反省の意味も込めて、人間が駆除しなければならない。駆除後も外来種が増えないように、日常的に行政や専門家、住民が連携して見守る必要がある」
Posted by jun at 2013年12月05日 10:40 in 外来生物問題