日本テレビ系朝の情報番組「スッキリ!!」でまた問題が発覚した。詐欺被害の特集で被害者としてインタビューに応じた男女が実は無関係の人物だったことが発覚し、司会の加藤浩次(44)らが先月、謝罪したばかりだが、今度は世界遺産・熊野古道を舞台に、取材に協力した関係者から怒りの声が上がっている。その強引な取材と過剰演出とは――。
問題となっているのは6月7日に「スッキリ!!」で放送された「“黄色い花”で世界遺産・熊野古道が危機」という特集。「特定外来種のオオキンケイギクの大繁殖によって世界遺産・熊野古道の在来種が侵食され、古来の生態系が崩れ、世界遺産の景観が損なわれる恐れがある」という内容のVTRだ。
この放送を見た地元民は「世界遺産の指定区域内にはオオキンケイギクは一つも生えていないのに…」と首をかしげる。熊野古道横垣峠の環境保全を担当する三重・御浜町教育委員会に確認すると「VTRのオオキンケイギクが群生している場所は、熊野古道から500メートルほど離れた国道沿いでしょう。オオキンケイギクを刈り取っていたふもとの民家も、同様に世界遺産区域ではありません」という。
全国の緑化計画がきっかけで20年以上前から繁殖しているオオキンケイギクは全国各地で確認されている外来種で、三重、岐阜県などでは以前から駆除の対象となっている。コスモスに似た黄色の鮮やかな花だが「在来種に悪影響」が及ぶとして2006年に栽培や販売、輸出入が禁止された。
問題は、オオキンケイギクが群生した熊野古道の“周辺”の国道沿いを映しながら、画面右上には「世界遺産・熊野古道が危機」とテロップを出して、あたかも熊野古道のピンチであるかのように思わせる演出だ。
関係者によれば「ヒノキやスギ林に石畳の敷かれたいわゆる熊野古道は日当たりが悪く、もともとシダが生えているくらいで、オオキンケイギクが生息するような環境条件ではない」という。
強引とも思えるスッキリスタッフの取材方法も明らかにされた。
「クルーから『今、向かっているので取材させてほしい』と突然連絡があり、担当者が『世界遺産の区域にオオキンケイギクは生息していません』と説明したようなのですが…。6月5日付の中日新聞の『世界遺産・熊野古道に外来植物』という記事を見て来たそうです。クルーはその日(6月6日)のうちにトンボ返りで、翌日の放送を見たら『世界遺産がピンチ』と出ていてビックリしました」
中日新聞は「横垣峠の東側神木に生息しているのは確認したが、世界遺産の指定区域の境界線はあいまいで、オオキンケイギクを発見した場所は世界遺産のコアゾーン(核心地帯)ではない」としている。地元記者でもエリア判別が難しい熊野古道で、在京のテレビクルーが取材を進めて、地元民の怒りを買ってしまったようだ。
放送を見た視聴者からは熊野古道の関係施設に「オオキンケイギクを抜きに行きたい」などとボランティアを買って出る問い合わせの電話がかかっているという。
日テレ総合広報部に「取材クルーは、関係者から世界遺産区域にオオキンケイギクが生えていない旨の説明を受けているはずだが…」と問い合わせると「視聴者の皆様に特定外来種への理解をしてもらい警鐘を鳴らすため、熊野古道周辺でのオオキンケイギクを中心に取材を行い、専門家の見解もふまえて放送した」との回答だった。
まったく生えていない花を「生えていた」と報じれば“やらせ”だが、今回は微妙な周辺区域に生えているため、一概に番組の責任を断罪はできない。とはいえ、関係者からこれだけ批判が上がっているのだから、何らかの対処が必要だろう。
Posted by jun at 2013年08月15日 15:18 in その他のニュース, 外来生物問題