日本固有種の淡水ガメ「ニホンイシガメ」と中国から移入されたと見られる「クサガメ」の交雑が進んでいることが、神戸市立須磨海浜水族園の遺伝子調査で分かった。亀崎直樹園長は「近い将来、純粋なイシガメがいなくなる可能性がある」とし、固有種が絶滅する可能性もあるとした。
亀崎園長らは、2011〜12年に西日本でイシガメとクサガメ両方の特徴を備えたカメ18匹を捕獲し、ミトコンドリアの遺伝子を分析した。その結果、少なくとも10匹が母親か祖母、曾祖母が「クサガメ」との結果になり、交雑が高い確率で進んでいることを示した。ミトコンドリアは母親由来のため、残りの8匹も父方にクサガメがいる可能性があるという。
また外見はほぼイシガメだが、クサガメの遺伝子を持つ個体がいた。一方、外見はクサガメにもかかわらずイシガメの遺伝子を持つ個体も見つかり、混合が進んでいる実態が浮き彫りになった。
クサガメは記録などから300〜400年前に中国から持ち込まれたと見られ、イシガメよりも環境変化に強いという。亀崎園長は「ただでさえ河川開発で減少しているイシガメが、さらに遺伝子もかく乱されている恐れが高い」と指摘。「生物の安易な移動が種の倒壊を招きかねない」と警鐘を鳴らした。
同園は、生態系の破壊が懸念される外来種、ミシシッピアカミミガメについて、捕まえて持ち込むと入園料を無料にする「アカミミガメ・パスポート」を今年も実施している。6月30日までで、同園は「繁殖期を迎える時期、ぜひ捕まえて持ち込みを」と呼びかけている。【渡辺暢】〔神戸版〕5月22日朝刊