アメリカ、フロリダ州で1月12日から「ニシキヘビ・チャレンジ2013(Python Challenge 2013)」という1カ月にわたるイベントが開催されている。哺乳動物を次々と補食し、生態系を破壊する東南アジア原産の外来種、ビルマニシキヘビを退治した数などを競う“ヘビ狩り”コンテストである。
主催者はフロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWCC:Florida Fish and Wildlife Conservation Commission)。参加者はエバーグレーズ国立公園の湿地帯に銃などを持って入り、2月10日の終了日まで賞金を争ってニシキヘビを追う。最も数をこなすと1500ドル(約13万円)、最大の個体には1000ドル(約9万円)の賞金がかかっている。
◆コンテストのルール
このコンテストには、あまり公にされていないが重要なルールが定められている。ニシキヘビの生け捕りは禁止されており、必ず殺処分しなければならないことだ。
主催者側では、家畜銃(家畜を屠殺する空気銃)をニシキヘビの頭部に撃ち込む方法や、頭部を切断する方法を指導している。特殊な経験は必要なく、オンライン研修で済む。ニシキヘビなどの外来種のヘビとフロリダ原産のヘビの画像を並べ、このヘビは殺してもよい、これは駄目という具合である。
亜熱帯、南部は熱帯に属するフロリダの経済は、観光業に依存している。数十年にわたって、爬虫類は観光資源の1つであり、ペットとしても大きな収益源だ。同州はイースタンインディゴヘビの生息地で、ニシキヘビと同程度のサイズだが穏やかな性格が評判になり、ペットとしての人気が急激に高まった。現在は絶滅寸前で、保護対象になっているという。ほかにもアナホリゴファーガメが生息している。
爬虫類と長い間共存してきた同州がいまや、今回のようなコンテストを主催し、若い世代に「良いヘビは死んでいるヘビだけ」と教えるまでになっている。
◆ニシキヘビは“狩り”に値する?
このコンテストに対する抗議活動などはなかった。ただし、動物の権利擁護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」は、主催者のFWCCに対し、頭部を切断する手法は「人道的な面から問題がある」と書面で抗議している。ちなみにFWCCは、「今回のような条件下では妥当」というお墨付きを米獣医学協会から得ている。
数年前、フロリダの南端、キーラーゴ島の固有種であるキーラーゴウッドラットなどの希少野生動物を、ビルマニシキヘビが捕食していると報じられた。そうかも知れないが、“魔女狩り”にも似た今回のコンテストの標的にすべきかどうかについては、議論が紛糾している。
膨大な数のビルマニシキヘビは、もはやフロリダの一部と化しており絶滅は考えにくい。身の回りにいるこうした動物への対応は、人間にとってより親しい命の扱いとも密接に関わってくる。
外来種の問題は、身近な動物にも当てはまる。アメリカ鳥類保護協会(American Bird Conservancy)によると、飼育下または野生化したネコは、年に何億羽もの鳥類と、ウサギやリス、シマリスなどの小型の哺乳類を10億匹以上殺傷しているという。しかしフロリダには、狩りの際にハンマーで殴る位置の目安として、頭部中央に「×」印が付いたビルマニシキヘビの画像が掲載されたWebサイトはあっても、シャム猫の画像はない。
「ビルマニシキヘビは有害な外来種の“イメージキャラクター”のようになっている」と、フロリダ大学の教授で、ニシキヘビ・チャレンジの主任科学者を務めるフランク・マゾッティ(Frank Mazzotti)氏は語る。
「例えば“ピラニア狩り”のコンテストだったら、テレビカメラが集まって多大な注目を浴びることとなる。しかし“キューバズツキガエル狩り”には、誰も見向きもしないだろう。生態系への影響は大きいのに、皮肉だがそれが現実だ」。
1月22日の朝の時点で1100人がニシキヘビ・チャレンジ2013に参加登録したが、首級が挙がったビルマニシキヘビの数は27匹に留まっている。一般人も対象としたコンテストだからか、あまり成果は上がっていないようだ。
Bryan Christy for National Geographic News
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Posted by jun at 2013年01月25日 12:25 in 外来生物問題