動植物の外来種が、日本の固有種を脅かす問題が深刻化する中、中国産の外来種の「侵食」が目立っている。兵庫県姫路市では、世界文化遺産「姫路城」の石垣に中国産の外来植物「ニワウルシ」が大繁殖。固有種の生息域が侵される問題だけではなく、石垣損傷の危険性まで浮上し、市は24日、除去に乗り出した。魚介類やオオサンショウウオも固有種が中国産に脅かされており、動植物をめぐっても日中の“攻防”が激化している。
◆崩壊懸念し伐採
姫路市によると、ニワウルシは兵庫県の外来生物リスト(ブラックリスト)で、生物多様性に悪影響を及ぼす注意種に指定。繁殖力が強く、樹高が1・5メートルを超えると伸びた根がかたくなる特徴がある。
市が平成23年度に行った姫路城内の調査で、西の丸南側の石垣を覆う樹木がニワウルシと判明。専門家は「根がかたくなれば石垣にまで影響が出る。伐採だけでなく根まで除去する必要がある」と指摘する。対策を取らなければ、石垣が崩れる可能性すらあるという。
石垣の上には国重要文化財の土塀や櫓(やぐら)などがあり、市は「文化財保護」の観点で伐採を決定。24日、市職員が高所作業車に乗って石垣の間に生えるニワウルシの伐採を始めた。石垣の隙間に残る切り株には、噴霧器やはけを使って除草剤を塗りつけた。
◆深刻な交配進行
中国産の外来種をめぐっては、関西の河川を中心にタイリクバラタナゴやライギョ、タイワンシジミなどの魚介類が繁殖している問題が深刻化。また、京都市内の鴨川水系に生息する国の特別天然記念物、オオサンショウウオが中国種との間で交配が進んでいることも判明している。
琵琶湖博物館(滋賀県)の金尾滋史学芸員(保全生態学)によると、外来種の中でも中国産が危険視されるのは、日本と中国の生態系が似ているため、日本の固有種が交配によって外来種に置き換わってしまうケースもあるからだ。
同様に繁殖が問題視される北米産のブラックバスの場合、固有種を捕食する問題が発生するが、交配はないという。
金尾学芸員は「ブラックバスも問題だが、固有種の減少といった形で影響が目に見える。しかし中国産生物の場合は交配の結果、固有種と外見が似ている外来種がいつのまにか固有種を駆逐しているので影響が見えにくい。より深刻な問題だ」と話している。
Posted by jun at 2012年08月29日 21:06 in 外来生物問題