鴨川に戦前まで遡上(そじょう)していたとされる天然アユをよみがえらせようと、京都市は5、6月のアユの遡上時期に合わせて伏見区下鳥羽の龍門堰(ぜき)に竹製の魚道を試験設置する。大阪湾から鴨川にアユがさかのぼるのを阻んでいる堰は高野川との合流点まで15カ所あり、魚道の設置は天然アユを復活させるための第一歩となりそうだ。
鴨川では1935(昭和10)年の大水害後に京都府が堰を設置した。龍門堰は高さ約1・5メートル、幅約60メートル。38年に川底の安定と農業用水の取水のため、大阪湾から約40キロ上流の西高瀬川との合流点付近に設けられた。
市が鴨川最下流の龍門堰で昨年5〜7月に実施した調査では体長約6、7センチの天然アユ250匹が跳びはねていたが、堰を越える姿は確認できなかった。
このため2011年度一般会計当初予算案に魚道の設置補助費として府と市が各100万円を計上した。市は漁業関係者や鴨川で活動する市民団体と協力して効果の調査や観察会を予定している。魚道の試験設置でアユの遡上を確認すれば、上流部でも順次検討する。
鴨川では毎年、賀茂川漁協が琵琶湖産アユを放流しており、アユ釣り歴57年の三谷桂和組合長(73)は「鴨川で天然アユの遡上は見たことがない。何年先になるかは分からないが、早く上ってくれることを楽しみにしている」と期待する。
アユの生態に詳しい川那部浩哉・前琵琶湖博物館館長は「かつて鴨川にアユが遡上していたことは多くの文献で明らかだ。復活には堰だけでなく、市の下水処理の水質改善や国の淀川大堰(大阪市)操作の見直しも必要だ」としている。