2010年12月22日

「オオカミで獣害対策」 日本オオカミ協会会長の丸山さん講演

 情報技術を活用した地域づくりに取り組む「古座川電脳塾」は20日、和歌山県古座川町明神の明神生活改善センターで、東京農工大学名誉教授で日本オオカミ協会会長の丸山直樹さんによる講演会を開いた。丸山さんはニホンジカによる獣害防止のためにオオカミ復活の必要性を説いた。

 丸山さんは、日本でオオカミが絶滅したのは明治時代末で、本州では奈良県で1905年に捕獲されたものが最後と言われていることなどを紹介した。日本オオカミ協会は93年設立。現在約250人の会員が、頂点捕食者がいない森林生態系をオオカミを復活させることによって保護し、獣を適正密度に抑えて農林業被害を抑えることを目的に活動しているという。

 日本でオオカミが絶滅したと判断される根拠について、オオカミは毎日ほえるので、生きていれば声を聞くはずだが、そんな話はないということを挙げた。子だくさんで6、7匹生み、現在は餌となるシカやイノシシがたくさんいるので、オオカミが生き残っていればあっという間に増えて目にするはずだが、それがないことも根拠の一つと話した。

 農作物などへの被害が相次いでいるシカについても解説。シカは自然植生に大きな影響を及ぼし、シカが増えるとカモシカが減ることなどを説明した。シカは胃が四つで一つ目の胃にたくさんの微生物がいて、食べたものを分解できることから「シカは植物があれば何でも食べ、いつでも増える」と、脅威を示した。

 米国のイエローストン国立公園で95年と96年に計31匹、カナダからオオカミを連れてきて放し、それ以外の地域でも35匹放した事例などを紹介。この結果、2009年には公園の中で96匹に増え、公園の外まで含めると約200匹近くに増えた。それ以外の地域に放したオオカミはロッキー山脈で2500匹ほどに増えたという。

 この結果、同国立公園に1万6千匹いたエルクジカが7千匹に減少。開放的な環境にいたエルクジカはオオカミが怖いことから、栄養状態の悪い林の中へ隠れ、死亡率が高まり、雌の妊娠率が下がった。食べられて減っただけでなく、オオカミがいつ襲ってくるか分からないという恐怖心がストレスになったことが、エルクジカが減った原因と考えられている。

 日本にオオカミを復活させる話については「イノシシやサルなど、シカ以外の動物を減らすにも効果があるだろう」と話した。外来種を入れるのは心配だという声も聞かれるが、世界にはハイイロオオカミ1種しかいないことや、オオカミは世界中で15万〜16万匹生息しているにもかかわらず、人を襲う事例が報告されていないことを話した。

 現在、シカに行っている獣害対策に対する提言として(1)オオカミの復活(2)若いハンターの自治体雇用による常勤体制化(3)広域的侵入防止柵(壁)の建設―を挙げ「三つを並行して実現してもらいたい」と締めくくった。

Yahoo!ニュース-和歌山-紀伊民報

Posted by jun at 2010年12月22日 13:32 in 外来生物問題, 自然環境関連

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