2010年08月31日

カトリーナで激減したヌートリアが回復

 アメリカ、ルイジアナ州では、湿地帯を食い荒らす外来種の齧歯動物ヌートリアの数がハリケーン「カトリーナ」によって激減したが、5年後の今、その数が急速に回復している。しかし同時に、ルイジアナ州ではヌートリア狩りがブームになっているため、一部の海岸湿地はヌートリアに食い荒らされる前の姿を取り戻しつつある。

 2005年11月20日〜2006年3月31日の狩猟シーズンに捕獲されたヌートリアの数は16万8843匹だった。ところが、2009〜2010年の狩猟シーズンでは44万5963匹という記録的な数が捕獲されたことがルイジアナ州の統計で明らかになった。狩猟者はヌートリア狩りによって収入を得て、目的の部位以外の死体は廃棄する。

「この1年間に捕獲された動物の数が、この地域の経済状態を表している」と、ニューアイビーリアにあるルイジアナ野生動物魚類局でヌートリア管理プログラム(Nutria Control Program)の責任者を務めるエドモンド・ムートン氏は言う。

 簡単に言うならば、野外に出てヌートリア狩りを行う失業中の住民が増えているということだ。ヌートリアは南米原産だが、毛皮を利用する目的で19世紀後半に米国に持ち込まれた。

 ハリケーンは多くのヌートリアの命を根こそぎ奪ったが、その影響も長くは続かなかったとムートン氏は付け加える。「一部の群れはどこか他の場所に生息地を移し、個体数が大きく減少した群れの一部が少しずつその数を回復させていった。ヌートリアは相当に回復力の強い種で、これほどの大災害にも対応できる能力を持っているのだ」。

 海岸の湿地帯は、高潮の被害から内陸部を守る役割を果たしている。しかし、テキサス州に本拠を置くハート・メキシコ湾研究所によると、ルイジアナ州の海岸は主に石油ガス開発のため人為的な原因で侵食されている割合がアメリカ国内で最も高いという。

 ヌートリアが湿地帯の草を食べると、土壌が露出して引き潮や潮の流れで侵食されやすくなるため、ヌートリアの増加は問題を悪化させるだけだとムートン氏は話す。湿地帯が普通の海のようになってしまうと「もう元には戻せない」。海岸の湿地帯が1.6キロ失われるごとに高潮が約30センチ高くなると同氏は指摘する。

 また、2010年のメキシコ湾の石油流出事故が湿地帯に最終的にどのような影響を与えるのかも不明だ。ルイジアナ沿岸保護復旧局の広報官クリス・マカルーソ氏は5月、ナショナルジオグラフィック ニュースの取材に対し、「既に深刻化しているルイジアナ州の海岸侵食問題が石油流出によって悪化する恐れがある」と答えている。

 湿地帯への被害を人間が食い止める方法の1つは、メキシコ湾岸の各州に広く分布し体重7キロにまで成長するヌートリアを捕獲することだとムートン氏は提案する。

 ルイジアナ州に生息するヌートリアの数を減らすために、野生生物管理当局は2002年、猟師がヌートリアを1頭捕獲するごとに4ドルを支払うプログラムを実施した。カトリーナの襲来後は金額が5ドルに引き上げられた。同プログラムの統計によると、プログラムの開始以降、ヌートリアの被害を受けた湿地帯の面積は4万ヘクタール超から3430ヘクタールに減少したという。「面積が小さくなっただけでなく、被害の程度も緩和された」とムートン氏は評価する。

 ルイジアナ州では毎年、平均約30万頭のヌートリアが捕獲される。「捕獲数が減ったのはハリケーン「リタ」と「カトリーナ」の次の年だけで、これは当然のことだ。ヌートリアを捕獲する人の多くは沿岸部に住んでおり、ヌートリアと同じようにハリケーンの被害を受けている」。

John Roach for National Geographic News

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Posted by jun at 2010年08月31日 13:35 in 外来生物問題

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