かつて子ども向けのテレビアニメで人気を集め、現在は野生化した特定外来生物のアライグマ(北米原産)が、県内の寺や神社など計300カ所に出没していたことが県自然環境保全課の調査で分かった。古刹(こさつ)の屋根裏などが格好の「たまり場」になっているという。県は農作物や文化財の被害が深刻化しないよう、寺社にわなを仕掛けて捕獲していく方針。【後藤直義】
「しま模様のしっぽが見えたんですよ」。近江神宮(大津市)では昨春、夜の当直者がアライグマを発見。木造平屋の社務所内を追いかけたが、床下に逃げられたという。「いろいろな動物が出るんですが……」。京都府では二条城などの文化財がつめで傷つけられる被害が出ており、同神宮は警戒の色を隠さない。
県の調査は「外来生物調査隊 エイリアン・ウオッチャー」(09〜11年度)。アライグマの目撃情報が多い大津市や甲賀市などの寺や神社を調査員が6班体制(計18人)で1軒ずつ訪問。09年度は394カ所のうち237カ所、今年度(8月2日時点)は66カ所で、アライグマのつめ跡や足跡などの「フィールドサイン」を見つけた。
担当者によると、アライグマは餌や寝床、子作りをする場所を求めて寺社に出没。屋根裏や柱などに五本指のつめ跡が残っているという。甲賀市内の寺では今年2月、お菓子をぶらさげたわなを見つめるアライグマの姿を自動撮影カメラがとらえた。
県内では、アライグマの駆除数が08年度の99頭から09年度は150頭以上に急増。農作物被害はブドウなど果樹を中心に約20万円(09年度)にとどまるが、県は「増え続ければ、田畑を荒らしたり民家に侵入するケースも増える」とみている。8月14日朝刊