【メラウケ(インドネシア南東部)井田純】インドネシア・パプア州の国立公園にあるラムサール条約登録湿地が、面積の急速な減少や外来種の増大の危機にさらされている。周辺の人口増加や違法な森林伐採などが要因とみられ、公園管理局が対策に乗り出した。
◇青い湖が茶色に
インドネシア最南東部のメラウケ郊外に広がるワスール国立公園は面積約4000平方キロ。パプアニューギニア国境に接し、カンガルーなどが生息するサバンナと、国内最大の湿地帯が混在した独特の環境を誇る。100以上の固有種を含め、これまでに哺乳(ほにゅう)類、鳥類、爬虫(はちゅう)類など500種を超える動物の生息が確認されている。
ラワ・ビル(青い沼)の名で呼ばれる公園内最大の湖は、1950年代の記録では現在の10倍以上の大きさがあったとされる。公園管理局などによると、この10年間ほどの間でも30%以上減少、現在は6ヘクタール程度にまで縮小している。
主な原因は、人口過密なジャワ島などからの移住が進んで水の需要が増したことや、公園内外の違法伐採などの森林開発とみられる。国際的な環境団体・世界自然保護基金(WWF)によると、ラワ・ビル周辺に住むパプア先住民は「湖はかつて深い青だった。それが灰色になり、今は茶色に変わりつつある」と話しているといい、水質悪化も懸念されている。
◇増える外来種
こうした変化に伴いかつて見られなかった外来種の増大など、生態系への影響も出始めている。WWFによると、外来の水生植物はこれまで、湖に生息する魚がエサとすることで増大が抑えられていた。ところが、国内の別の島から食用のために持ち込まれた大型魚類が在来種の魚を捕食。魚類、植物ともに従来のバランスが崩れてきているという。また、サバンナでも外来植物が目立ち始め、カンガルーの生息数も減少傾向にあるという。
公園管理局は「近隣のオーストラリアでも異常乾燥が続き、ここ数年はパプア州南部の雨期が短い。湿地減少に拍車がかかり、外来種も増えている」と指摘。「生態系維持のため外来魚消費や外来植物駆除で先住民の協力を得ている。地元政府とも連携して対策を強化したい」と話している。
◇ラムサール条約
正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。多様な生物をはぐくむ湿地の保全と適正な利用を目的に71年、イランのラムサールで採択された。09年4月現在、159カ国が加盟、1838カ所の湿地が登録されている。加盟国は国内の湿地を最低1カ所は登録し、保全と適正利用のための計画作成、実行などが求められる。
Posted by jun at 2009年11月23日 20:04 in 自然環境関連